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「そうですか…、あ、申し遅れました、私は
菅原 雪(スガワラ セツ)と申します、貴女は?」
「みゅ、日村莉王なのですわ、りお、って呼んでなのですわ」
うわーぉう
「りおさんね、漢字はどう書くの…」
「あら、ここにいたのね」
雪の向こうから、蠱惑的な声が聞こえる
「あ…那須野さん」
雪が一歩どくと、その人物が見える
少し茶が掛かった長髪(こちらはぱっつんではなく、左を隠す感じ)の、大人っぽい美女だ
「貴女が、日村莉王さんね」
少し前屈みになり、莉王と向き合う
そして、ぽそぽそと小さな声で喋り始める
(話は理事長から聞いているわ、ついてきて)
「みゅ?」
ひょい、と莉王はぬいぐるみのように抱き抱えられてしまう
莉王を抱っこした美女は雪を振り返る
「では菅原の、ごきげんよう」
「え?は、はい…」
ぽかん、とする雪をその場に残し、美女と莉王はどこかへ行ってしまった
「…?どうしたのでしょうか?『筆頭』があの子に何の用が…?」
○
生徒会室
そう書かれたプレートのある部屋に入っていく
「みゅうぅ…」
知らない所に知らない人と二人で来て怯える莉王に、那須野と呼ばれた美少女(だろう、制服を着ているし)が優しく、かつ官能的に囁く
「安心して、ここなら誰も来ないわ」
コの字型に並べられた長机の椅子の一つに座らせられる
すると、那須野はコの字の縦棒にあたる所に座る
「…さて、まずは自己紹介するわ、私は
那須野 紫苑(ナスノ シオン)、生徒会長であり、あなたの味方よ」
よろしく、と頭を下げた
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