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「私はおまえが道徳を心得ているのかが…」
「莉王さん、この堅苦しい子は副会長なのよ」
「みゅ~」
「話を聞け!」
「聞いてるわ、だからそう大声を出さないで」
絶対聞いてない
堅苦しい副会長は
宮本 双葉(ミヤモト フタバ)と名乗り、二年生のようだ
すると、紫苑が肩に手を置く
「時間を取らせて悪かったわね、もうすぐ入学式だから、自分のクラスへ行くように…」
「みゅ?」
「なっ…!おまえが引き止めておきながら…」
双葉がやいやい言っているが、特に気にした風でもなく、莉王はやんわりと生徒会室を追い出される
「みゅ、自分のクラス知らないの」
と言うに決まってます
莉王は確認する暇もなく生徒会室に連れてこられた次第
乱れた着衣を直しつつ、莉王は、てけてけ、と歩いていく
その時だった
「おい」
ドスの聞いた声に、びくん、と震える
「…ふ、ふしゃー!」
精一杯威嚇するが、どこにいるかわからない相手故、効果も半減
すると、ひょい、と襟を持ち上げられる
「ぴ、ぴー!」
くりん、と後ろを向く
でっかい刀傷により潰れた左目
およそ衛生的には見えない無精髭
オールバックの恐持て
「…ふ…ふえぇ」
泣こうと思ったら、優しく唇に指を押し付けられる
「安心しろ、俺様は味方だ」
味方、という言葉が出たが、納得できない
暴れるも、振りほどくことはできない
「落ち着けって、取って食うわけじゃねぇ」
そう言われて、ようやく落ち着く
食われると思っていたのか
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