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コツコツと足音が近づいてくる。
その音を片耳で聞きながら、俺は拳を握り締めた。
――…もう、逃げる事は叶わない。
それを知っているのか、俺の近くに居た奴の体が震えていた。
「……大丈夫か?」
「っあ、はい!!」
「……大丈夫だ。お前を酷い目には合わせたりはしねぇよ。」
「――…武さん…。」
今、俺に出来る事は、守る事。
顔が割れている連中は、ここで逃げ出したら、後々の制裁の方が恐ろしい事は、分かりきっていた。
だからこそ、…俺はササル以外の連中をここに残す選択を取った。
「武。相手とここの距離……ゼロ。」
「…。」
「この扉の前に奴らが居る。」
「良い度胸だ。」
唯の緊迫した言葉に答えて、俺は【白-シロ-】の奴らを勇気付けるように、口端をクイッ、っと上げた。
出来る限りの事をやろうか。
俺が、出来る限りの方法で……俺についてきてくれた、こいつらを守ってやる。
「…全員、生き抜け。」
「ああ。」
「もちろんですよ。」
「はいは~い。」
隣に立っている三人が答える。
良い返事だ。
――…そう、勝てるだけ勝て。
そして、生き抜け。
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