入学-ニュウガク-

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これからは忘れないようにしないとな、って心に誓う。 「…聞いてんのか?お前。」 カツラを絶対に取らない、と心に誓ってウンウンと頷いていたら、目の前の奴が俺の顔を覗き込んでいた。 え? 何こいつ…。 どこの専属モデルですか。 むしろ、どっかのスターですか。って思わず聞きたくなった。 「おい、目開いてんのか?その分厚い不細工な眼鏡で全く見えねぇんだけど。」 「聞いてる、けど。」 「…そうならそうと、返事しろよ。」 「…。」 何だ、この傲慢な王子様。 真っ黒でサラサラストレートの短髪に、光の加減で赤にも青にも見える綺麗な瞳。 俺と同じような黒縁眼鏡をかけているけれど、それさえ気になら無いほど…そいつはものすごく格好良かった。 スッ、と通った鼻筋。 その両サイドの瞳はちょっとだけ上に吊り上っている。 それから、今までの行動を見るかぎり、性格は多分…鬼畜で俺様。 その推測は間違っては居ないと思う。 …多分。 「あんた、誰?」 「お前を迎えに来た、同室者。」 「…はぁ?どうして俺を迎えに来てんだよ。」 「外部生だろ、お前。」 「まぁ…、そう言うのかな。」 そういえば、ここって全寮制の学園で、しかも中等部からの持ち上がりが多いんだっけな。 と、すると… つまり、外からやってくる俺みたいなのは珍しいって事なのか。 というか、ちょっと待て。 俺にとって今…一番問題なのはそこじゃない。 この、傲慢で明らかに俺様そうなこいつが…俺の同室者? ……すげぇイヤだ。 絶対、気が合わない。 「外部生だからって…どうして、あんたがワザワザ迎えに来るんだ?」 「今年入って来る外部生はお前だけ。」 なるほど。
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