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まるで、猫のようだ…。
自分が世界から消えていく事を知って、
自分の最後の居場所を求める――…
そんな姿が、まるで猫のようだと俺は思った。
「あの場所に居る事は、イルカが望んだことだよ…。それから、こーちゃんの願いは――…」
崩れていく…
崩れていく…
手が届かない…
空を掴む手が、ただ虚しくて…
守れると…、
力(ちから)を手に入れたと思った俺に、
運命はただ残酷に次の犠牲を強いる。
崩れる…
崩れる…
俺を守って守って傷ついた、黒猫…
自分の信念と俺と言う犠牲を望まなかった、紅蓮の鴉…
炎の中で黄色の髪をなびかせて、
ただ自分の憎しみの為に戦っている、金色の王。
無かった事にはならない、
全て生きていて、なくして良いものなんて一つもない。
俺は一生後悔する。
「紅蓮…!イルカ…!!」
お前らは、バカだ!!
心の中で精一杯の悪態をついて、
けれど心の中で悪態をついたことに俺は後悔した。
それと同時に、入り口近くの壁が崩れて…
炎に包まれた地下は、
その瓦礫の向こう側に消えて行った――…。
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