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+.。.:*・゚☆gurenn*・゚+
「俺が望むんは――…光一もイルカを失わない道。そして…」
俺はササルたちが出て行った出口に目線を向けて…
光一から距離を取る。
その俺の行動と同時くらいに…
ドォンッという音と、
ガラガラと壁が崩れる音がした。
――…多分、逃げ道が塞がったんだろう。
俺はただ、そう悟った。
「俺がもう一つ望むのは…ササルを逃がして幸せにすること…」
コツンッと音がして、
俺は荒くなった息を吐き出してから、その音の方向へと目線を向けた。
「…逃げられなくなったぞ?」
そこには、俺と同じように…
全身をボロボロにした光一が立っていて、
皮肉気な笑みを顔に浮かべている。
――…俺が、お前を残せるわけないって、
知っていたんだろう?
だというのに、何度も何度も…
まるで子供が親にすがるようにして、こいつは俺に問いかけて来る。
『良いのか?』と…。
それを思い出して、俺はクッと喉を鳴らして笑った。
「お前を止めるのは俺じゃから…」
赤々と燃える炎の中、
光一はダンッと地面を蹴り上げて俺に襲いかかってきた。
その光一に、俺も正面から突っ込んで行って、
何度も殴り込み、何度も殴り込まれ…
俺たちはお互いに命を削りあっていた。
――…俺がお前を止めたいと思うように…
お前も、俺に止められたいと願った。
それが対峙して分かったからこそ、
俺は逃げないと誓い、そしてこいつが望む最後とやらを…
幕引いてやろうと思った。
そして、俺の力(ちから)と光一の力(ちから)。
両方を血の中に飼っているイルカもまた…
自分の血が溢れるのに相成って、
命が枯れ行き、先刻のミイトと…そしてササルを助けに行ったときの戦闘で、
全ては壊れ、暴走していた。
だからこそ、俺はイルカが近くで果てていくのを…
黙って受け入れる事にした。
俺が守ってきた存在。
光一とイルカ…
どちらも失う事が悲しいと嘆く俺…
けれど、その大切な存在と戦う俺は、心が壊れてしまっているんだろうか?
ガッと頬に光一の拳が入り込んで、
俺は勢いよく吹き飛び…
壁に当たってズルズルとしたに落ちた。
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