心-シン-

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「守れなくて…ごめん…。苦しい思いさせて…ごめん…」 炎が熱風を運んできていた。 密閉された空間の中で、 微かに流れる空気が炎を増長させているんだろう。 または――… 炎を育てているのは、この研究所に染み付いた憎しみか…。 「どうして俺は、いつだって守れないんだろうな…」 こうして憎しみを増やす事しか出来なかった俺は… なんて馬鹿なんだろう。 大切な人を――… それも、今度は本当に、一つを除いて全てを失ってしまう。 「泣く資格なんて…、俺にはないのに…!!」 ポツンッと足に当たった雫を拭って、 俺は叫んで首を左右に振る。 そして、目の前の二人を抱きしめて、目蓋を閉じた。 「――…イルカ、お前に俺を半分やれれば良かったのに」 そうすれば、きっとお前は… こんなにも苦しむことは無く、こんなにも強さを求める事は無かった。 でも、全てはやはり…後悔にしかならない。 その時…ドオンッと、 今までにない大きな爆音が響いて、 ピシピシという音が崩れるような音に変わった。 「ササル…幸せになれ…」 俺の目の前が、真っ赤に染まったのは――… その言葉のすぐ後だった。 .
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