心-シン-

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仲間がそう簡単に納得してくれるとは思えないし、 何より――…シンたちもそれを納得するとも… 「俺は、ササル達が良いなら…付いて行くぞ」 俺の思考を読み取ったように、シンはそうキッパリと宣言する。 その後で、ミイトも「俺もです」と… シンと同じ意見であると意思を見せた。 「なら…簡単だろう?ササルの意見はきっと通る」 俺の頭に再び手を置いて、 武は優しく俺の頭を撫でた。 「帰ろう、ササル」 「――…っ」 そして、柔らかい声音でそう言った。 忘れる事なんて出来ない戦いで… 沢山の人を傷つけて、沢山の犠牲を出した。 だけど… この話を聞いた人に、 無意味だと言われたら…それは違う!と俺は断言する。 失われた物が、無意味だったとは思えない。 いや…思わない。絶対に。 紅蓮が戦った意味、 光一が戦った意味、 イルカが戦った意味、 シンが戦った意味、 唯が戦った意味、 ミイトが戦った意味、 武が戦った意味、 雅幸が戦った意味、 満潮が戦った意味、 海斗が戦った意味、 シキ先輩が戦った意味、 そして、俺が戦った意味。 全ては、真っ黒で…でも白い羽を持った鴉が現れた日から始まった。 それはきっと――… 運命でも宿命でもなく、 救われたいと願った人たちが起こした、 最後の奇跡だったんだと……俺は思う。 .
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