プロローグ

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男がそう言い終えた瞬間、少女の額に添えられた手から閃光が放たれた。 その反動で身体はぐらっと傾き、空中へ放り投げ出される。少女は壊れた人形のように下に落ちていった。 「ラナ様!」 突然、燃え盛る天界城から銀髪の男が現れた。 「一足遅かったな。ラナ様はもういない」 長髪の男、レノールが顔を歪めて嬉しそうに目を細める。 「レノール・アウリオン」 憎しみを込めた目で銀髪の男はレノールを見た。 くっと声を漏らし、少女が落ちていった方に向かって走ると、男はためらうことなく空中に身を投げ出す。 「もう間に合うまい」 勝利したも当然の声をレノールは上げた。 銀色の髪を大きくなびかせながら、男の身体は落下していく。天界から、地界に向けて。 「決して死なせはしません!」 強い思いを持ち、銀髪の男は少女の後を追った。
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