始まりの風

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知らない人に実名を教えるほど、未夜は馬鹿ではない。 「でも、感じるんだよね。強い心力と禍々しい力を」 「え?」 この外国人は、何を言っているのだろうか? 未夜の心は混乱した。 「一緒にきてほしい」 外国人がそう言った直後、手首を掴まれた。 「放して!」 慌てて振り解こうとするが、男の力が強くてできない。 最終手段として掴まれていない方の左手で、相手の顔面めがけて殴りかかる。 「危ないな。かわいい顔してそれはないよ」 拳はあっさり外国人に受けとめられてしまい、そのまま下に捻り上げられた。 「くっ……」 痛みのあまり声が漏れ出る。
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