No.①

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玄関から足を踏み出しゆっくりと扉を閉める 2月はまだまだ肌寒くて、冷えた指先をハァーっとあたためた 行く宛てもなく見慣れた住宅街を歩きだす 日曜日だと言うのにスーツ姿のサラリーマンやOL、ジャージを着た学生は部活動へでも行くのだろう そんな行き交う人々の中、行き場がないのは私だけなんじゃないかと気持ちが落ちて行く 下を向きながらとぼとぼと歩いていたが、小さな公園の前で足を止めた 人影もなく静まり返る公園に、なぜか吸い込まれるように体が勝手に動く
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