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それから数年が経ちました。     「やあ。調子はどうだい?」   「中々ですよ。今日も一儲け出来そうです」   「ははっ、参ったなあ。でも金に埋もれちゃ駄目だよ」   「勿論です。金に目を眩ませた人間のなれの果ては何度も見てきました」     そこには顔に少し皺の増えた男性と、見違えるほど立派に成長した少年の姿がありました。     「あれから数年、よく頑張ったね」   「ここまで来れたのは、貴方のおかげですから……本当にありがとうございました」   「良いんだよ別にさ。俺は何もしてないんだから」     照れ隠しにそんな事を言った男性を見て、少年……いえ、青年は言います。     「何もしてないなんて言わないで下さい。私は貴方に"きっかけ"を与えて貰ったからこそ此処に居るんです。だから、しっかりとお礼を言わせてください」     ―――夢を、ありがとう。           彼は立派な青年です。   きっかけを得たあの日から、彼は毎日努力を積み重ねて、遂に有名な資産家にまでなりました。   そんな彼の心は明るく、その表情には満面の笑みを浮かべていたのでした。
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