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彼は孤独な少年です。   食べるものすらまともに無く、路上でただ、ぼーっとして一日を終えます。   そんな彼の心はとても暗く、その表情に笑顔など浮かぶはずもありません。     そんな彼の前を、一人の男性が通り過ぎました。     「なにかくれ」     少年はそう言いながら、男性の近くに寄って行きます。     「困ったな、食べ物はサンドイッチが一つしか無いんだが」   「なにかくれ、はらがへってしにそうだ」     少年の言葉はとてもたどたどしく、恐らくは学校なんて行った事さえ無いのでしょう。     「残念だけど、俺はそんな心優しい人間じゃ無いんだ」   「くれ、なにかくれ」     ……きっと彼には、食べ物なんてあげないよと言われた事さえ分かって居ないんだろう。   そう思った男性は、少年にこんな事を言いました。     「なあ、夢って分かるか?」
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