第4章

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抗がん剤治療を始め、2週間でまた検査をする事になっていた。 手術をうけるかどうかとか、このまま抗がん剤治療を続けるかどうかとか、そんな事を決めるために・・・・ 検査の2日程前に、撫子にメールをした。 [明後日、抗がん剤治療の結果を確かめる為の検査があるんだ。 けどさ、俺、抗がん剤治療始めてからどんどん悪くなってる気がするんだよ。 もう、モルヒネも効かなくなって来てるくらい痛みがあるし。 言ってなかったけど、もう車椅子じゃなきゃ移動も出来ないんだよ。 検査しても、抗がん剤の効果が見えなかったら、家の近くに戻るよ。兄貴達に迷惑かけられないから、ケアハウス探して貰う。 そんで体調見て退院するよ。] 撫子は、そう思うならそれで良いと思う。それが弱気からじゃなく、前向きに考えた末の事なのは解るからってメールをよこした。 それから、とびとびながらもメールをし、検査の日になり、結果を知らされた。 思った通りだった。 あんだけ苦しい思いをしながら受けた抗がん剤治療の成果はまるで無いに等しかった。 骸骨みたいに痩せこけて、自分の体を拭うのもやっとみたいな体力しかなくなったってだけで、癌細胞は地道に増殖の一途をたどっていた。 俺は、抗がん剤治療をやめた。 良くなるアテもないなら、早く抗がん剤を体から出しきってしまいたかった。
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