第4章

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撫子に手術の事は言わないと心に決めたのだから、もちろん当日も朝のメールに [検査に行ってくるからしばらく携帯から離れるよ!] とだけ書いた。 [いってらっしゃい!] という撫子のメールに見送られ、俺はストレッチャーで運ばれた。 徐々に朦朧としていく意識。 あー。もう一度撫子の写真見ときゃ良かったー ふと、頭をよぎったが、すぐに意識は遠退いて行った。 意識が戻ったのは夕方になってからだった。 着信を知らせるランプが点滅している。 ああ。撫子。俺はまだこっちに戻って来れたよ・・・ 体・・・・動かないから、メールもう少し待っててな・・・ どれくらいそうしていたか、麻酔が切れてくると、今度は痛みに悩まされた。 今までも充分過ぎるくらい痛みには耐えて来たけど、やっぱり切り刻むとまた違う。 鎮痛剤と、抗生物質の入った点滴に 「ホントに痛み止め入ってんのかよ!」 と、悪態をついてみる。看護師が体温を下げる為に氷枕を頭や脇にはさみに来るが、あっという間にぬるくなってしまう。 気づくと明け方だった。 [おはよー撫子 変な時間に目が覚めちゃったよ! 昨日はメール返せなくてスマン] しばらくたって撫子からメールが入る。 [おはよー 良かったー。この前痛みがって言ってたから、心配してたんだよー] 何も言わなくても、結局撫子には心配かけてるんだな・・・俺は苦笑いするしか出来なかった。
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