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[撫子。俺、昨日個室に移されたんだよ。
俺、そんな悪いのかな?
死んじゃうのかな?]
[なに弱気になってるの?
抵抗力が落ちてるのは確かだもの、お見舞いの人から悪い菌が移らないようにって事じゃない?
つか、死にそうに具合悪いの?]
[それほどでもないかな?]
[じゃ大丈夫でしょ!]
実際、あんま良くないのは確かだった。
携帯を持ち上げる腕に力が入らないし、体温も微熱より少し高い感じで推移してた。
身体中も痛かったし。
うつらうつらして、昼夜の区別がつかない時もあった。
撫子から
[朝ですよー]
というメールが届いて、あっそうか、朝か・・・なんて思ったりもした。
そして、なんとか空メールを返したりして1週間。そして土曜日。
もう、携帯を自力で打つことは出来なかった。
撫子から来たメールを兄貴に開いて見せて貰い、簡単な返信をしてもらった。
俺が最後に打ち込んで貰った言葉は、運転して出先に向かう撫子に
[きをつけろよ]
と、一言だった。
撫子からの返信は
[ありがとう
好きー♪]
だった。
俺は目頭が熱くなった。
撫子が初めて好きって言ってくれた。
それだけで幸せで、それが別れの言葉にふさわしい。
好きだから、サヨナラだ。
そして、俺は兄貴に言った。
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