Vol.3

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こぶへいが顔を上げると、眼鏡が割れて、目の少し下から血が出ている。 同時に鼻血もでている。 クラス中の緊張の糸が切れる音がした。 皆笑い出す。 こぶへいはまた下をむく。 さらに笑いだす。 「鼻血こぶへい!」 あだ名のあだ名まで出て来て、馬鹿にする。 鼻血を垂らしたまま、教室から出て行った。 出て行っても笑いが収まる事は無かった。 暫くして、教頭が入ってきた。 皆こっぴどく怒られた。 全校集会でも問題とされ、 「教師に暴力を振るなんてもっての他だ!」 と私達のクラスを上から見ながら激しく叫んだ。 怪我が治っていなかったからなのか、私達の顔を見たくなかったのか、その日こぶへいは教師の列には居なかった。
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