冬の山

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登り始めた時は、晴天だったが、山の天気は変わりやすいとは、よく言ったものだ。この吹雪で視界が悪いし、猛烈な風で、足どりが重い。 1番近い山小屋まで、普段だったら30分程度で着くと、まとめ役をしている小澤が言ったが、かれこれ1時間は歩いている。 山小屋らしき物すら見えない、前を行く仲間の後ろ姿を必死で追い掛けるのが、精一杯だ。 「見えたぞー!」 小澤が大きな声で叫んだ。 確かに右前方に、うっすらと建物が見える。 それが見えた途端に、皆の歩くペースがあがる。 そして、我先にと小屋に飛び込むようにして、入って行った。 私が最後に小屋に入って、戸を閉める。 戸を閉めた途端に、疲労と安心感から、倒れるように床に横になった。
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