174人が本棚に入れています
本棚に追加
学校生活が始まってから一週間が経った。
「椎名。」
放課後、俺は優と帰ろうとしてると、担任の相馬に呼び止められた。
「何すか?」
俺はそっけなく返事をした。
「お前、サッカー部やるのか?」
相馬は神妙な面持ちをしていた。
「そうですけど。」
俺がまたそっけなく返事をすると、相馬は突然笑顔を浮かべた。
「そうか!見たよ!中学の全国大会!全試合ハットトリック!すごかったなぁ!お前があの椎名だったんだな!?名前が同じだから、まさかとは思ってたけど、部活の希望でサッカー部って書いてあったから確信したよ!」
相馬はすごい勢いで喋っている。
たまにツバが飛んで来てウザイ。
「いやぁ!サッカー部の顧問は俺なんだ!うちのサッカー部は万年地区大会止まりだからな。椎名と中学時代アシスト王の井川に全試合ノーゴールの記録を持つゴールキーパーの澤本がいれば全国制覇も夢じゃないぞ!」
相馬の勢いは止まらない。
って、やっぱ澤本もサッカー部かめんどくせぇ。
「期待してるぞ!明日から練習始まるからな!」
相馬はそういうと両手で俺の肩を叩いた。
ってか痛い・・・。
加減しろよ!
「えぇ、まぁ頑張りますよ。」
俺は相馬の余りの勢いに呆気に取られていた。
俺と達也と澤本は同じ中学のサッカー部だった。
去年、全国大会で優勝したんだ。
俺と達也で点を稼いで、澤本は地区予選から全国大会まで相手に一点もいれさせなかった。
ムカつく奴だけどゴールキーパーとしては超一流だ。
相馬は言うだけ言っていくと大声で笑いながら去っていった。
頭大丈夫か?アイツ。
「なんかすごかったね。」
優も唖然としていた。
「だな。まぁいいや。帰ろうぜ。」
俺と優は何事も無かったかのように校門に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!