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俺たちが校門の所に来ると一台の黒塗りのデカイセダンが止まっていた。
俺と優がその車の近くを通ると中から三人の男が降りて来た。
「よぉ!お前ら元気か?」
相変わらずガラが悪い三人だ。
「先輩!お久しぶりです!」
「ちぃーっす。」
俺と優は三人に挨拶をした。
三人は俺の先輩だ。
昔から散々世話になっている。
黒いセットアップに坊主頭でサングラスの佐藤学。
長髪が目立ってかなり遊び人風な相川辰巳。ちなみにホストをしている。
そして、運転席から降りて来た体格のいいリュウさん。本名は知らない。昔からリュウさんのあだ名で通っている。リュウさんには喧嘩で勝てる気がしない。
この三人には俺も敬語を使う。
「どうだ?高校生活は?」
リュウさんが俺に聞いて来た。
「まぁまぁっすよ。」
「諒は相変わらずクールだな。」
リュウさんは苦笑いを浮かべている。
「先輩たちはどうしたんですか?」
「君達の様子を見にきたんだよ。特に諒は初日から派手にやらかしたみたいだからね。」
優が辰巳さんに聞くと、辰巳さんはシニカルな笑みを浮かべて俺の方を見た。
「ああ、そういえば。」
そんな事もあったなって俺が思い出すと、学さんが耳打ちをしてきた。
(お前がやっつけた二人がヤクザと繋がってるみたいなんだよ。たぶん平気だと思うけど注意しとけよ。)
学さんは優にこの話を聞かせないように耳打ちで話してくれた。
優にはこういう話は免疫がないからだ。
優が聞いたらウザイくらい心配するしな。
「分かりました。平気っすよ。」
俺は別に気にしなかった。
そんな事は今までに何回もあった。
ヤクザが怖くて生きていけるかっての。
「相変わらず情報が早いっすね。」
「君達はかわいい後輩だからね。」
「まぁ気をつけろよ。」
俺が言うと、辰巳さんとリュウさんが続いた。
「どうしたの?」
優が少し心配そうに俺に聞いてきた。
「何でも無いから心配すんな。」
俺は心配かけないように優の頭を撫でながら答えた。
「相変わらずラブラブなことで。」
辰巳さんが少し呆れ気味に呟いた。
「じゃあ俺らは帰るからな。」
リュウさんがそういうと三人は車で帰っていった。
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