傷痕

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次の日の放課後。 「なぁ、達也。優を見なかったか?」 俺は達也に廊下で会うと尋ねた。 「いやぁ。見てないけど何かあったのか?」 「部活前にちょっと話あったから探したんだけど、いないし、電話しても出ないから。」 「優がなぁ。珍しいなぁ。」 達也と話してると、俺は嫌な予感がして走り出した。 「おい!急にどうしたんだ!?」 後ろから達也の声がしたが、無視して外に向かった。 校門に着くと、ちょうどリュウさんの車が止まった。 「諒!優ちゃんが連れていかれた!」 窓を開けてリュウさんが叫んだ。 「やっぱり!油断した!」 俺は悔しさで舌打ちをした。 優も二人に顔を見られてたんだ。 十分に危険はあった。 「今、下の奴から連絡があった。」 助手席から辰巳さんが降りて来た。 「優は佐々木自動車の倉庫にいるよ。行くんだろ?」 「当然!」 俺は辰巳さんの言葉に力強く答えた。 早く行かないと何されるか分からない! 「一人で行くな!今、下の奴らも集めるから!」 「そんなの待ってらんないっすよ!!」 俺が走り出そうとするとリュウさんに止められた。 「リュウ。行かせてあげなよ。諒の性格知ってるだろ?」 リュウさんが俺を掴んでる手を辰巳さんが離した。 「諒!待てよ!」 後ろからリュウさんの声が聞こえた時、俺は走り出した。 リュウさん、すいません。 でも、もう惚れた女に何かあるのは嫌なんだ! もうあんな思いは二度とごめんだ! 優は俺が守る! 決めたんだ! 俺はただ必死に走っていた。
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