傷痕

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倉庫に着いた。 俺は手近に落ちていた鉄パイプを取ると窓から中を確認した。 「もう!何なのよ!」 優が叫んでいる。 体は縛られている。 まだ何もされていないようだ。 「お前の男は俺のかわいい舎弟に痛い思いさせてくれたみたいだからな。仕返しさせてもらう。」 ドスをちらつかせながら男が優と話している。 他にも何人かいるようだ。 「そんな事!?諒より弱いから悪いんじゃん!諒は喧嘩メチャ強いんだからね!」 優が怒鳴り声をあげている。 以外と根性あるんだな。 俺は少し呆気にとられた。 「しかも、女を人質にとって!恥ずかしいと思わないの!?」 「テメェ!!」 ドスを持った男は顔を赤くして怒鳴り声をあげている。 「ホントの事言われてキレてんの!?馬鹿!?」 優の勢いは止まらない。 助けいらねぇんじゃないか? とまぁ、さすがにそんな事も言ってられない。 俺は倉庫の扉を勢いよく開けた。 そして中を見渡した。 相手は五人か。 「優を返してもらうぞ。」 俺は全員の方を睨んだ。 「ガキが!一人で来て何が出来る?」 一人がそういうと男たちは笑い声をあげた。 「女を人質に取る奴に言われたくないな。」 俺は相手をあざけ笑うような笑みを浮かべた。 「お前ら、殺れ!」 幹部らしい男が言うと、他の男たちが俺を取り囲み襲い掛かってきた。 まずは四人。 俺は1番最初に突っ込んで来た奴の腹を鉄パイプで殴ると、それをそのまま引いて逆の先端で後ろにいた奴の腹を突いた。 さらに横から突き出されたドスを鉄パイプで叩き落として、ドスを落とした奴のこめかみ辺りに蹴りを叩き込んだ。 残る一人は武器も持っていなかったからそのまま鉄パイプで下から股間を殴打した。 これは痛いだろ! 最初の一人が立ち上がり再び殴り掛かって来た。 俺は男が繰り出した右の拳を鉄パイプで叩きあげると、両手で持っていた鉄パイプから片手を離し、その手で力いっぱい顔面を殴り付けた。 そいつを倒すと、また周りを見回した。 もう立ち上がる様子はない。 俺が一息ついて優の方を見るとマズイ状況になっていた。
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