傷痕

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俺は優を宥めて帰ろうとしていた。 「あっ!そういえば今日から部活だったじゃん!」 優は落ち着きを取り戻して口調はいつもどおりだ。 よかった。 「そういえば、明日からでいいんじゃねぇか。」 「そうだね。今日は仕方ないよ。」 優は笑顔を浮かべた。 やっぱこの笑顔がいい。 俺は優の手を取り歩こうとした。 しかし、突然、背中に衝撃が走った。 意識が遠のきそうだ。 「諒!!きゃぁぁぁ!」 優が悲鳴をあげた。 やられた。 まだ動ける奴がいたのか!? 俺は背中に手を伸ばし、半分くらいは体に埋もれ混んだドスを引き抜いた。 血がかなり出てる。 や、やばい。 「このやろう!!」 俺は叫びながらドスを背中を刺して来た奴の肩に刺した。 男はそれで倒れ込み、意識を失った。 でも俺も立ってるのが限界だ。 「く、くそやろう。」 俺はその場に倒れた。 優が慌てて俺の背中にハンカチをあて止血してくれている。 手についた血を見たら嫌な事を思い出した。 水の中に沈んだ手と赤い水。 過去の嫌な思い出が走馬灯のように流れてる。 優は必死に止血を続けている。 お前、すげぇな。 ありがとな。 「諒!諒!大丈夫!?死んじゃ嫌だよ!」 優は涙を流している。 まだ死んだわけじゃねぇよ! 勝手に殺すな! 「平気だ。大丈夫。心配ばかりかけて・・・、ごめん・・・、な。」 俺は意識を失った。
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