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「なんか、すごい人だったね。でも、すごい綺麗な人だった。モデルみたい。」
優は望が病室から出ていくと、病室のドアを見ながら呆然していた。
「諒の姉貴も相変わらずだな。」
達也も少し呆れ気味だ。
「望・・・いつか殺す!」
俺の怒りは収まらない。
あいつは昔から自分の言いたいことを言うとすぐに去っていって台風みたいなやつだ。
「ま、まぁまぁ。いいじゃねぇか。何だかんだ心配して来てくれたんだからさ。」
達也が俺を宥めようとしてくれている。
ったく!
「なんか腹立つ。ってか俺はどれくらいで退院できるんだ?」
「先生が言うにはね、急所は外れてるんだけど、傷自体はけっこう深いんだって。生きてたのが不思議なくらいだって。だから、4ヶ月くらいかかるみたいだよ。」
俺の問いに優が答えてくれた。
4ヶ月は長いなぁ。
「諒はしぶといからなぁ。まっ、生きてたんだ。4ヶ月くらい我慢しな。」
「あ、あぁ。」
俺は渋々うなづいた。
「アタシ、毎日お見舞いくるからね!」
優がすっげぇ元気な声で俺に言ってきた。
「優が来ると寝れなさそうだからな。毎日じゃなくていいよ。」
「無理!却下!毎日決定!」
だよな。
優ならこう言うよな。
ったく、こっちの身にもなってくれよ。
「よっ!熱いね!諒がいない間に俺はちゃんとレギュラー取っとくから。」
達也が俺の肩を叩いた。
コイツに先にレギュラー取られるのもなんかムカつく。
ってか、4ヶ月!?
も、もしかして!
「俺!全国大会まで間に合わないじゃん!」
「無理だな。諦めてくれ。大丈夫、俺と澤本でいいとこまで、進めておくから。」
達也もキッパリ言う奴だ。
でも変に慰められるよりはいい。
「いや、俺、絶対に早め治すから待ってろよ。」
「まっ、期待しないで待ってるよ。」
俺が拳を達也に向けると、達也は俺の拳に自分の拳をぶつけてきた。
これは昔からの二人の挨拶だった。
「頑張らなきゃね!」
優はその様子を嬉しそうに見ていた。
俺の長い入院生活が始まった。
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