父と母

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4ヶ月がたった。 もうすっかり夏だな。 「退院おめでとうございます。」 病院の出入口まで看護婦が見送ってくれた。 今日は退院の日だ。 長かったなぁ。 リハビリもうまくいって今まで通りに生活したりサッカーしても問題はないそうだ。 「お世話になりました。」 俺は軽く看護婦に頭を下げると、病院を後にした。 今は昼の12時だ。 俺は今日から学校に出るつもりだったけど、望が大事をとれって言って休みにさせられた。 とりあえず腹減ったなぁ。 飯食いに行こう。 俺は病院の近くにあるラーメン屋に立ち寄った。 ここの味噌ラーメンうまいんだよなぁ。 俺が中に入ると意外な人がいた。 「よぅ!具合どうだ?」 リュウさんだ。 「おかげさまで大丈夫っすよ。」 「そうか!よかったな。とりあえず座れよ!」 俺はそう言われるとリュウさんの向かいに座り、味噌ラーメンを注文した。 リュウさんは炒飯を食べている。 相変わらず炒飯好きなんだな。 「リュウさん、こんなとこで何してるんすか?」 「仕事だよ。最近ニュースで話題になってる通り魔いるだろ?」 「俺はニュースあまり見ないから分からないっすよ。」 「そうか?ここ数日、この辺りで原付きに乗りながら女子高生の腕を切り付ける通り魔が出てるんだよ。それでうちの若頭の娘も被害にあってな。」 そういえばこの人ヤクザの幹部だったな。 俺の目の前じゃあまりそれっぽいとこ見たことないからたまに忘れる。 「それって赤岩真紀の事っすか?」 俺が真紀の名前を出すと、リュウさんは驚いた顔をした。 「なんだ?お前、真紀のこと知ってるのか?」 「まぁ、昔にちょっと。」 「ふぅ~ん。やったのか?」 俺は飲んでいた水を吹き出しそうになった。 「ち、違いますよ!昔の女の知り合いで一緒に遊んだことがあるんすよ!」 「そうだったのか。まぁ、とにかく真紀が傷つけられたって言って若頭がカンカンでな。その犯人を探して警察に連れていこうってことになってな。」 「赤岩さんも律義っすね。」 「あの人は性格が性格だからな。下の奴らには尊敬されるわ。」 赤岩さんに真紀か。 懐かしいなぁ。 元気にしてるかな。
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