入学式

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達也は隣のクラスだった。朝のホームルームが終わり、入学式が始まるまで教室で待機することになった。 さっきの女達は俺に携帯番号を聞いてきたが、俺に彼女がいると知ると諦めて解散していた。 「ねぇ、諒。達也君のクラスに行ってみない?なんかアタシ達の知ってる人がいるみたいじゃん!」 優にそういわれると俺は頷き、二人で隣のクラスに行った。 隣のクラスに来てみたが、達也以外に知ってる顔は見かけなかった。 「今はいないみたいだね。」 「そうだな。達也もいなし。」 俺と優が教室を出ようとすると、俺は横から嫌な気配を感じた。 俺が横をむくと、内履きの裏が視界に入って来た。 俺はその飛び蹴りを間一髪でかわした。 「相変わらずやるじゃないか!椎名諒!」 熱苦しい声がする。 コイツは澤本大樹。 昔からなぜか俺を目の敵にして、勝手にライバル宣言している。 俺は興味ないんだけどな。 「お前もこの学校だったのか。」 俺は次の攻撃に移ろうとしている澤本を呆れ気味に見ていた。 「俺はお前に勝つまでどこまでも追いかける!」 お前はストーカーかよ。 「あっ!大樹君じゃん!久しぶりだね!」 俺の後ろにいた優は相手が澤本だとわかると駆け寄っていった。 なぜか優と澤本は仲がいい。少し気に食わない。 「あっ!ゆ、優さん!お、おはようございます!」 澤本は優に声を掛けられると顔が真っ赤になった。 分かりやすい奴。 「おはよ!元気だった?」 「は、はい!優さんこそご、ごき、ご機嫌麗しゅう!」 噛みすぎだろ? ってか今その言葉あまり使わないぞ。 「おい!椎名諒!優さんの目の前で勝負するわけにはいかない!この勝負預けておく!」 相変わらず訳分からん。 「はいはい。」 俺が適当に返事をすると、澤本は教室に戻って行った。 「大樹君は相変わらず元気がいいね!」 優は笑顔を浮かべている。 「勝手に喧嘩売られて、勝手に預けられる身にもなってみろよ。」 俺はそう呟くと教室に戻った。
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