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「ただいま~、お待たせ、ポチ」
学校から帰ると、玄関で愛犬のポチが思い切りしっぽをふって出迎えてくれる。私はかばんを放り出し、そのままポチの散歩に出かける。私の日課だ。
「かおり?」
「尚にぃ!久しぶり!」
幼なじみで2歳上の尚にぃ。小さい頃から尚にぃが大好きで、ずっと尚にぃについてまわっていたが、尚にぃが高校に入った頃から少しずつ疎遠になっていた。ポチが嬉しそうに尚にぃにすりよる。
「お~ポチ元気か?そうか、俺に会えなくて寂しかったんだな。よし、久しぶりに俺も一緒に散歩行こうっと」
「え?」
「だってポチが俺ともっと一緒にいたいって。なぁ、ポチ?」
「わんっ」
「…仕方ないなぁ…」
ポチは私と尚にぃが一緒に拾った犬だったので尚にぃが高校に入るまでは一緒に散歩させてた。大好きな尚にぃと一緒にすごせる時間が毎日楽しみだった。
久しぶりに並んで歩くのは嬉しかったが、素直になれず、つい素っ気ない態度になってしまう。
「しばらく見ないうちにきれいになったな」
「は?」
「いつまでも俺についてまわる子どもだと思ってたのになぁ(笑)」
そういって頭をなでられる。
「いつまでも子ども扱いしないでよ!」
そう言って尚にぃの手を振り払った瞬間―
ドンッ
「きゃんっ」
音のした方を振り返ると、私の持つリードの先には、地面に横たわるポチの姿があった。
「…ポチ…?」
「すみません!」
車から中年の女性が慌てておりてくる。
「ポチ!ポチ!」
必死で呼び掛けるが、ポチが動く気配はない。
「病院まで乗せて行ってもらえますか?」
「は、はい…」
「かおり!早くポチ抱いて!」
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