幼なじみ編

3/3
前へ
/16ページ
次へ
気がついたら病院の待合室に座っていた。 診察室の扉が開く。 「かおりちゃん…おや、そっちは尚輝くんかい?」 「お久しぶりです、先生。あの…ポチは?」 「大丈夫、ショックで気を失ってただけで、軽症だよ」 「よかったな、かおり」 一気に緊張がとけて涙が溢れ出る。 「念のために一日入院させるからね。治療費は加害者の方が払ってくれるということだし…尚輝くん、かおりちゃんを送ってあげて」 「はい、もちろん」 尚にぃはなかなか泣き止まない私の手を引いて歩き出した。 「懐かしいなぁ…この感じ」 小さい頃、よく泣いた私の手を引いて家まで連れて帰ってくれた尚にぃ… 「成長してないね、私。尚にぃがいないと何もできない」 「…ずっと一緒にいるから大丈夫だよ。かおりのことは、ずっと俺が守ってやるから」 思わず足をとめてしまう。 「…迷惑?」 ゆっくり首をふる私を、尚にぃがそっと抱きしめた。 END
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加