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気がついたら病院の待合室に座っていた。
診察室の扉が開く。
「かおりちゃん…おや、そっちは尚輝くんかい?」
「お久しぶりです、先生。あの…ポチは?」
「大丈夫、ショックで気を失ってただけで、軽症だよ」
「よかったな、かおり」
一気に緊張がとけて涙が溢れ出る。
「念のために一日入院させるからね。治療費は加害者の方が払ってくれるということだし…尚輝くん、かおりちゃんを送ってあげて」
「はい、もちろん」
尚にぃはなかなか泣き止まない私の手を引いて歩き出した。
「懐かしいなぁ…この感じ」
小さい頃、よく泣いた私の手を引いて家まで連れて帰ってくれた尚にぃ…
「成長してないね、私。尚にぃがいないと何もできない」
「…ずっと一緒にいるから大丈夫だよ。かおりのことは、ずっと俺が守ってやるから」
思わず足をとめてしまう。
「…迷惑?」
ゆっくり首をふる私を、尚にぃがそっと抱きしめた。
END
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