恋人編

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侑都とは友達の紹介で3年前に知り合った。 「二人とも映画好きだから合うんじゃないかと思って…」とのことだったが、侑都は洋画のアクションしかみないし、私はファンタジーやラブストーリーが好きなので、全く趣味が合わない。それだけではない。食べ物や音楽の好みも合わない。 それなのにいつの間にか一緒にいるようになっていた。ネガティブな私に対して、とてもポジティブな侑都は新鮮だった。もちろん順風満帆というわけにはいかず、小さな言い争いはしょっちゅう。ついにこの間、大喧嘩をしてしまった。 いつも侑都の好みに合わせてばかりの私に我慢の限界が来たのだ。 「1度くらい私の好みに合わせようとか思わないの?」 「別に。そんなの俺楽しくねーし」 「私はいつも合わせてるんだよ?」 「無理して合わせてほしいなんて言ってないだろ?」 「もういいよ、侑都のバカ!」 ―最悪だ― それから1ヶ月、侑都からの連絡はない。私からも連絡はしてない。どれだけ趣味や好みが合わなくても、やっぱり侑都と一緒にいたい…そう思っていたが、侑都から別れを切り出されるのが怖かった。 でも1ヶ月も連絡がないなんて…もう終わりかもしれないな… そう思っていたある日、突然侑都からメールが来た。 『映画行かない?前売り買ったんだけど』 いつも通りのメール。どうせ先週公開されたSFアクションだな。 私が侑都に合わせていればいい。不満もあるけど、一緒にいるためなら我慢しよう。 そう思いながら席につく。 「え…」 画面に映し出されたのは私が観たいと思っていたラブストーリーだった。 今までどれだけ観たがっても「俺は観ない」って言い張ってたのに…私が言った「一度くらい私の好みのデート」それで最後にするつもりかもしれない…そう思うと映画の内容なんて頭に入ってこなかった。 会話もないまま、レストランに移動する。少し前を歩く侑都が何か思い詰めているようで…隣に並ぶことはできなかった。
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