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ドルンッドルンッドルッドッドッド!!?
単車の音が、低くうごめく爆音がドンドン近付いてくる。
いったい……どの位の数だろうか?
音だけでは判断しかねるが、下手すると千はいるかもしれない……
こりゃ完全に無理だ……間違いなく死ぬな。
でも、死ぬなら吉田も道連れだがな!
「よーし!いいぞ~!野郎ども!出てきやがれ!!」
吉田が大声で叫ぶと、一台の単車が飛ぶように俺と吉田の真ん中に突っ込んで来て止まった。
「ヨォ!元気かい若造ども!!」
単車をまたいだ奴が叫ぶように言った。
なんだ、こいつは?
こいつが新生夜蝶会か?
「…~だ、誰だキサマは!?」
あれ?吉田も知らないのかよ?
姿はどこぞの暴走ルックだが、なんかやたらシルエットが太い。
「街が騒がしかったんでな…久しぶりに現役に戻って仲間連れて静めにきたぞ!」
……ん?
夜で暗いから解らなかったけど、こいつオッサンか??
「静め…って、うちらの新生夜蝶会は何をやってる!!」
吉田は軽く焦ったように電話した。
が、繋がらなかったみたいだ。
「くそがっ!出ない!何してんだ!」
携帯を地面に投げ付けた吉田に、オッサンは話しかけた。
「おい、あんちゃん!沢山の若い連中を集めたのはお前さんかい?」
「はぁ?何言ってやがる!?」
「俺の作った可愛い夜蝶会をパクった奴らなら、皆潰してやったぞ?」
「……なっ!?どう言う事だ…つ、潰した!?」
マジで?何千いるか解らない奴らを?
「おぅ、順ちゃんよぃ」
「は、はい!………はい?」
はて?このオッサン、なんで名前を?
てか、俺の作った夜蝶会って………?
「あぁ!?」
よく見たら背中の刺繍に夜蝶会が!
しかも、上には『初代』って刺繍されている。
「あぁ、メットしてたらわからんか……ほら」
ポカンとした俺に、そう言いながらも、メットを取った。
「あぁあ゛あ~ー!!」
俺は驚きのあまり、声を上げてしまった。
「今日は仕事を切り上げて来たわ!」
吉田にしては声も出ないらしい。
「佐々木さん!!?」
お忘れでしょうか?
俺の現場バイトの上司、現場監督の佐々木さんである。
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