第1章 好きこそ物の上手なれ

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「小野先生は、焼却炉で陶器を焼いていたんです。違いますか?」  小さく首を上下させた小野先生。 「そして次に、入れ替えられていた引き出し。入れ替えたのは引き出しの利用者、香織だ」 「そうよ。それがどうかしたの?」  遠藤の絵をじっと見つめていた香織が、ようやく俺の話を聞く体制になってくれた。 「香織の引き出しは俺の引き出しの1つ上だった。それを移動させるために引き出しを抜いたとき、すぐ下の引き出しの1番上に置かれた絵、つまりなくなった俺の絵を見つけたんだ。そしてお前はその絵を小野先生に渡し、焼却炉で焼くように持ち掛けた。小野先生は俺のなくなった絵がどの絵だったか知っていましたよね。あの時それをしっていたのは俺と犯人だけなんですよ」 「意味のよくわからない推理だけど、上出来ね」  香織が立ち上がり、俺の元へ歩み寄る。 「そう、私がやったの。あなたの推理通り絵は焼却炉で燃やしたわ」  いつもの淡々とした口調で、あっさりと自白する。 「でも、あなたを救うためにやったのよ」  俺を救うため?どういう意味だ? 「あの絵が完成したとき、あなたによくない事が起きる。私はそれを知っていたの。だから…燃やした」  さっぱり意味がわからない、なんだ?よくないことって。
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