第1章 好きこそ物の上手なれ

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「好きだ。付き合ってくれ。」 「嫌。今年もそれ続けるの?」  俺の告白に全く表情を変えないまま、柔らかな口調で拒絶の意を示す。だが、俺は落ち込みなどしないのだ。 「もちろん。今年も同じクラスだからな。これで3年連続だ。運命だと思わないか?」 「思わない。確率は216分の1、それだけの話よ。もし運命だとするなら、私は神と戦う覚悟をするわ。」 「運命からは逃れられないらしいぞ」 「逃げないわよ。返り討ちにしてやるって言ってるの。負けたときには、潔く腹を切るわ。」 「そこまでするか?」 「出来ることはなんでもやる。そろそろホームルームが始まる時間よ。ハウス」 「わんっ」  登校してからホームルームまでの短い時間、今年も運命によって3年6組で共に過ごすことになった、相沢香織に告白をする。高校生活もあと1年しか残されていない。今年こそは、首を縦に振ってもらいたいものだ。  入学してから今まで、毎日懲りずに続けたところ、俺と香織の間では、おはようの挨拶と同義語になっている。ちなみに百から先は数えてないが、全戦全敗だ。  香織とはとても仲が良く、手料理を振る舞って貰ったり、一緒に旅行へ行ったこともある。  つまり、その……調理実習と修学旅行のことだ。  学校行事万歳。 
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