第1章 好きこそ物の上手なれ

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 晶は目ざとく、唯一俺のことを生徒会長と呼ぶ。  その言葉には皮肉しかこめられていないことは、火を見るより明らかだ。 「うるさい、今年の野球部の予算0にするぞ」  野球部の部長である晶に脅しをかける。こんなやつが部長だなんて。 「どうぞ御自由に、そんな権限お前にあるのか?」  ニヤニヤと口元を緩ませる晶。 「ねぇよ」力なく答える。「あったら野球部はとうの昔に廃部にしてるよ」  なんて無駄話しをしていると、名も知らぬ新担任から注意を受けた。なんてこった。俺の華々しい新生活が黒星スタートだ。  担任の名は、西原文彦。英語の教師で結構適当な性格のようだ。今年度初のホームルームは、必要最低限の時間を費やしたかも分からないほど、あっという間に終了した。
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