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その甘辛い二口目を胃の奥へと流し込んだ時、ちょうど舞いは佳境に差し掛かる。
矢を構えた笑い鬼達に取り囲まれた一匹の鬼は、刀で応戦するも力一歩及ばず、捕縛されると岩戸らしきに穴蔵に幽閉されてしまう。
酒宴で踊りに狂う笑い鬼達が眠りにつくと、隠れていた猿が桜の小枝を手に岩戸の門を潜る。
幽閉されていた鬼を解き放った猿は、その小枝を渡すと、自らの身体を腹を空かせた鬼の為に差し出すのだった。
鬼は喰らう。
その血で全身を朱に染めながら。
そして、持っている桜の小枝が一振りの刀剣に変わると、眠っている笑い鬼達に次々と復讐の怒りをぶつけるのだった。
草原に立つ鬼一匹となった時、その鬼の前に蓮に乗った仏が現れ、一枚の銅鏡と、翡翠の勾玉を手渡すのだ。
それを受け取った鬼の顔は、激しく嗚咽して哭いていた。
仏は鬼の前で踊り祈りを捧げる。
その舞いの何と美しい事か。
暫く踊りに見とれていた鬼は、いつしか衣を纏った天女の姿に変わっていた。
やがて天女の周りでは草花が咲き乱れ、笑い鬼によって殺されたであろう人の魂が、彼女の足下に集い楽園を造り出すのだ。
――そうした内容の物だと分かる。
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