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僕は今しがたの仏舞にどのような由来があるのか確認したくて、女性達の輪に加わる事にした。
彼女達はそんな僕を温かく迎え入れてくれる。
「あの、お邪魔でなければお話を聞かせて頂けませんか? 僕の名前は――」
「あぁ、佳奈ちゃんの知り合いの人でしょ? いま文美さんから聞いたとこなんよ。じゃけどええ声しとるなぁ。若い男の匂いがするわ」
「手ぇ出しちゃおえりゃあせんで。佳奈に怒られるけぇな」
「フフフ……そりゃそうじゃ。佳奈より先に手ぇ出したらバチが当たるわ」
声が若い。五人組の女性達は僕よりは歳下じゃないかと思う。
クスクスと笑う声は女子高生のそれと変わりなく、団扇をクルクルと回す仕草は、幼くも大人の色気に通じるものがある。
でも、素顔は分からない。狐面の奥から僕を品定めしているような、そんな視線を感じた。
きっと僕がお決まりの挨拶をするまでもなく、彼女達は僕の話題で盛り上がっていたんだろう。
嬉しいよいな、恥ずかしいような、少しだけ顔が火照った。
後でひょっとこの面にお礼を言ったのは内緒だ。
僕は照れ隠し代わりに質問してみた。
「若い男って……この村にも僕くらいの男の人はいるでしょ?」
友達の後ろに隠れていた一人がポツリと呟く。おさげ髪の小柄な女性だ。
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