出会いは散歩から

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 結局昼食は『たっぷりキノコのあっさりパスタ』になった。無論雛さんの希望だ。何でもこれは彼女の好物らしい。 「どの辺が好きなんだ?」 「このフォークにくるくると巻き付けるところに決まっているじゃない!」  満面の笑みで答えられた。確かにフォークにスパゲッティを巻き付ける雛さんは非常に良い顔をしている。それはもう、楽しいを通りこしてうっとりに到達している気もするくらいにだ。  と、こんな訳で『たっぷりキノコのあっさりパスタ』は雛さんの好物な訳だ。  しかし、要はくるくるとフォークに巻き付けて食べるスパゲッティなら何でもいいそうだ。そしてつまり、同じパスタでもマカロニや、ペンネではダメらしい。 「~♪  ~~♪」  くるくる、くるくる。  相変わらず楽しそうに雛さんはスパゲッティをフォークに巻き付けている。最早料理を食べることと言うより『スパゲッティをフォークに巻き付けること』と言った方がいいのかもしれない。
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