お持ち帰りされた俺

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 半人半妖獣とでも言うべきか、真っ白で腰の辺りまで伸びた髪を持ってして目覚めた俺はそれになっていた。  しっぽやら尖った耳やらが無いだけまだマシか? 「そう。  確かにその格好じゃ、人間と言えば人間に見えなくもないしね。」 「ああ、そうだろ。  まぁもうそこについてはあんまり関係ない気がしてきたけどな。」 「それもそうね。  ……さて、そろそろお昼のメニューを決めましょうか!」  こうして雛さんと俺は昼食のメニューを決める会議に入っていった。  もっとも、俺は雛さんの意見に従うつもりでいたが。  昼食前最後に、非常に後れ馳せながら言っておこう。  俺の名前は『木更津 遷里(キサラヅ センリ)』。  生まれ持っての名だ。  人間の時の記憶は完全に残っていた。おかげで混乱は無かった。外見が大して変わっていないのと合わせて、幸運と取れること。  かは、今はよくわからない。  多分付き合いの長い奴なんかは今の俺でも俺だと認識してしまうだろう。  そこのところが少し不安だ。
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