静かなる姫君

7/20
前へ
/300ページ
次へ
出立当日。昼過ぎ。 これまたよく晴れた日であった。 「遅い・・・」 護衛隊隊長を務める青田治郎は額の汗を拭って呟く。 護衛の人員は村田家より十五人、この縁談を取り決めた堂川家より十九人、計三十四人となっていた。 が、来ない。いくら待てども堂川家からの人員が来ないのだ。 「これでは祝言に間に合わぬではないか」 青田は自慢の口髭を撫でながら、先程から同じ所を行ったり来たりしている。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

229人が本棚に入れています
本棚に追加