静かなる姫君

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「こないだ、驚いた?」 「初音が泣くことなんてなかったからな」 二人は草地に腰掛けた。 夏草がフカフカしていて気持ち良い。 「ごめんね、もう泣いたりしないから。私だっていつまでも子供じゃないし。 話聞いた時どう思った?」 「なんかさ、妹が嫁に行ったらこういう気持ちになるのかなって思ったけど…… よくわかんないな」 途端に初音がいつものように笑い出した。 「そこは『寂しいです』って言いなよお!ホント晋次って素直じゃないよね。 そのくせ変に真面目で頑固だし」 「うるせーなあ、これが俺なんだよ」 憎まれ口を叩きながらも微笑む晋次。 初音との間の気まずさが破れたようで晋次は嬉しかった。
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