229人が本棚に入れています
本棚に追加
だがまたすぐに二人の間に沈黙が流れる。
爽やかな虫の鳴き声が辺りに響いていた。
「……俺ってダメだよな」
とにかく何か話そうと晋次が口を開く。
「何やっても長続きしないし、家だって潰したし。
……お前のこともかばってやれなかった……」
何言ってんだ俺。
何で俺が悩みを打ち明けてるんだろう。
晋次は頭を掻きむしった。
「そんなことないよ」
初音はちょっと首をかしげて優しく言った。
三日月に照らされた初音の肌はなお、月より白い。
最初のコメントを投稿しよう!