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それから一ヶ月後、とうとう宿泊研修の日がやってきた
とは言っても宿泊研修とは名前ばかりで、中身は集団キャンプみたいなものだ
場所は小学校からバスで20分ぐらいの場所にある隣り町のキャンプ場である
バスがキャンプ場に到着し、僕はその場に持ってきていた荷物を下ろして一息つこうとしていた、その時…
「孝太郎~!!」
と言い終わるか終わらないかぐらいと同時に涼子の右手が飛んできた
何とかかわそうとしたのだが、持ってきたカバンの紐に足が引っ掛かってしまい身動きが取れなくなってしまった、そして…
パチーンという小気味良い音を残して、その右手は僕の左頬を捕らえた
あまりの痛さに不覚にも僕はちょっと泣きそうになった
だがその平手打ちをした当の本人はというと
涼子「フッフッフッ、孝太郎は相変わらず鈍いなぁ」
悪びれる様子も無く満面の笑顔で言い放った
孝太郎「鈍いなぁじゃないよ、いきなり平手打ちはないだろ」
涼子「ねえねえ孝太郎、あっちにきれいな湖があるよ、行ってみようよ」
これまた満面の笑みだ
僕はその笑顔にヤレヤレといった表情で
孝太郎「わかった、でもやる事があるからもうちょっと待ってて」
と伝えたその言葉を聞くと涼子は満面の笑顔をさらに明るくして
涼子「了解、先に行ってるから仕事終わったら来てね」
と言い残してさっさと行ってしまった
5分後、荷物の整理が終わり僕は涼子の待ってる湖に向かっていた
ここから湖までは歩いて2~3分で行けるので散歩にはちょうどいい
ところが湖に向かう途中、向こう側から慌てた様子で涼子と大の仲良しである麻生明菜が走ってきた
明菜「新藤君!涼子が湖に落ちちゃった」
孝太郎「何!?」
その言葉に一瞬動揺したのだが、すぐに落ち着きを取り戻すと
孝太郎「とにかく先生呼んで!それと毛布も持って来て」
と明菜に伝え、僕はそのまま湖に向かった
湖に到着したのだが、涼子の姿が陸には見当たらない
湖の方に目を向けると涼子が意識を失いながら水中から必死に助けを求めてる姿が見えた
僕は涼子を見つけると迷う事無く湖に飛び込んだ
幸い陸までは距離は無く、僕は涼子を背中に抱えたまま陸まで上がってきた
その後駆け付けてきた先生が持ってきた毛布で涼子の体を包み、そのまま涼子は救急車で近くの病院に向かって行った
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