ラブレター

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宿泊研修の夜、この日の夕食は各班ごとに作ったカレーライスである 僕の班は昼間の事故で涼子が病院で手当てを受けていたため、人手は一人へってしまった しかしそこは気の知れたクラスメイト同士である、こう言う時の団結力は強くもめる事無く作業も進み、味も自分達で作ったわりにはおいしかった事もあって、あっという間に全部平らげてしまった 夕食も終わり、僕は近くにあったベンチに腰をかけていた しばらく休んでいると、そのベンチに明菜がやってきた 明菜「あっ新藤君、ちょっといいかな?」 孝太郎「うん、どうしたの?」 明菜「あのね、これ」 と言って渡されたのは一通の手紙だった 明菜はその手紙を渡すと、戸惑っている僕をよそに足早に去って行った 何だろうと思い手紙の封を開け、内容を読むと 『…好きです、返事が聞きたいから夜8時に湖の近くの公園で待ってます』 と書かれていた 孝太郎「…えっ?」 僕が渡されたのはどうやらラブレターらしい もちろん生まれて初めてのラブレターだ その手紙を読むと、そのベンチを離れて待ち合わせ場所の公園に向かった それはいたずらかもという不安と、もし本物ならその告白を受けるにしろ断わるにしろ直接思いを本人に伝えなければ失礼だろうという気持ちから取った行動だった 指定された時間よりちょっと早めに着いてしまったので公園のベンチで休んでいると向こうから誰かがやってきた やってきたのは涼子だった 涼子は僕の顔を見るとニコッと笑って 涼子「やあ、孝太郎」 孝太郎「お・おう、身体大丈夫か?」 涼子「うん、もう大丈夫だよ」 孝太郎「そうか…」 と短く言葉を交わすと二人とも黙り込んでしまった それから何分経っただろうか、涼子が手紙について切りだし始めた 涼子「孝太郎…明菜から手紙もらったでしょ」 孝太郎「うん、もらったよ。その差出人を待っているんだけど」 涼子「そうなんだ」 孝太郎「来ないからきっといたずらだったんだよ、そうだよな…僕なんかにラブレターなんて来る訳ないもん」 涼子「…あのね、孝太郎」 孝太郎「ん?何?」 涼子「その手紙の差出人…私なんだ…」 孝太郎「…えっ?」 涼子「明菜が孝太郎に渡した手紙、それ書いたの私なの…」 孝太郎「涼子…」
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