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ゆうり「あいつは?」
『ゆうき』に安定剤を飲ませて、寝かせていた『ゆうり』は『ゆうき』の髪の毛をなぜながら、戻ってきた俺を見る。
M「大丈夫だ、ま、一発入れさせてもらったけどな」
ゆうり「…マジかよ」
M「マジ。スヤスヤお休み中だよ。しばらくは平気だろ。母親も手当てはしてるから、安心しろ」
ゆうり「お前、本当に死に神かよ?」
M「前にも言ったろ」
ゆうり「なんだか、イメージと違うな」
M「ん?鎌でも持つか?」
ゆうり「ハハハ、おもしろいよ、お前」
M「そりゃ、どうも」
ゆうり「なぁ、死に神。俺には守らなきゃいけない物があるのに…なんだか矛盾してるよな」
M「…死ぬことがか?守るべき者・・・ゆうきか」
ゆうり「こいつは優しい。あんなやつらでも、愛してる。俺はいつまでもこいつには、優しいヤツでいて欲しい…両親から受けられない愛情全て、俺が引き受けた筈なんだ」
M「…大人な振りはやめとけよ、つらいだけだ。自分のキャパオーバーな事はしないほうが楽だ」
ゆうり「なんだよ、知ってるみたいな言い方するな。まるで人間みたいな・・・お前、生粋の死に神だって言ってたじゃないか」
M「ハハ…わかんないんだよ、死に神なんてたいそうな仕事してるけど、疑問だらけだ…はっ、とうとう俺もヤバイな、仲間以外に愚痴なんて…」
ゆうり「…なぁ、お前も辛いのか?」
ドキッとした
『ゆうり』の言葉に
死に神の仕事は、歌う事
その歌で、死者を看取る事
もう数えるのもヘドがでる程繰り返した行為…
【辛い】
確かに、辛いさ…
あいつみたいに、泣ければと思う。
ただ、泣いてしまえば、俺は死に神である事態続けられないような気がして、泣かない。
『ゆうり』…お前、自分で逝ったら……確実に地獄行きだぞ…
……そう言えば…なんで、守るべき物があるこいつが自ら断たなきゃならない?
何故だ?上は、何故それを看取り役の俺に教えない?
…定期報告の時にでも、聞いてみるか…
ゆうり「おい、なんだよ答えないのかよ」
M「禁則事項だ」
ゆうり「はっ、便利な単語だな」
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