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ゆうり「お前、誰だ?」
仕事始めから規則違反…って言っても、俺は何もしていない。
言われた通りに看取る為に地上に降りて来ただけ。
なのに、この青年は一発で俺を見つけてしまった…
M「見えたんなら、しょうがないな…俺は…」
言うべきか、迷う
5日間、上にばれなきゃ…
ゆうり「死神か?」
M「…わかってるって感じだな?」
ゆうり「なんとなくだよ…さぁ、連れてってくれよ、地獄でもどこにでも」
M「冗談。ごめんだな」
ゆうり「なんでだよ?お前、死神なんだろ?」
M「あぁ、正真正銘生粋の死神様だ。だが俺の仕事はお前が自分で逝くのを見守るだけだ」
ゆうり「なんだよそれしかしないのかよ。死ぬのもめんどうくさいんだな」
彼の名前は『ゆうり』
上はそうとしか教えてくれなかった。
今迄、こんな事なかったから不思議に思ったけど…
こいつは始めから死ぬ覚悟でいた様子だ・・・となると、『死因』はおおかた予想が付くけど、それがなんで今回に限って知らされないんだ・・・?
ゆうき「お兄ちゃん、起きてる?」
ゆうり「寝れないのか?」
ゆうき「うん…」
ゆうり「おいで、一緒に寝よう」
ゆうき「うん!」
『ゆうき』は『ゆうり』の5歳離れた弟だ。
ん?…この光景、前に見たような…
いや、ありえない…俺は生まれつき死に神だぞ。
弟みたいな存在はいるけど…あれは、甘えべただからな…。
幸い、『ゆうき』には俺は見えないらしく、ほっとした。
『ゆうき』が寝息をたてた頃、『ゆうり』が睨んできた。
ゆうり「ストーカーか?いつまでそこに居るんだよ」
M「それが仕事なんだ、悪いけど」
ゆうり「Shit!」
そんな言葉なんて気にしちゃいないさ…
上からの情報では強がりな弱虫って聞いてる。
そして、なにより『ゆうき』の事を愛している事も知っている。
要は優しいヤツなんだろ?
そんなに大事な弟がいて、なんで死ななきゃ・・・『ゆうき』を置いてくんだよ…
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