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ガシャーン!!!
またか…
『ゆうり』の父親が暴れている
『ゆうり』は急いで『ゆうき』の部屋へ
ゆうき「お兄ちゃん!!」
ゆうり「怪我ないか!?」
ゆうき「僕は平気だけど、ママは…」
『ゆうき』は家中に鳴り響く破壊音に堪えきれず、机の下へ潜り込み耳を塞いでいる。
ゆうり「見てくる」
ゆうき「待って!行かないで!!お兄ちゃん!!」
『ゆうき』は恐ろしいのかガタガタと奮え、兄の腕を掴み懇願している。
M「おい、俺が見てきてやるよ。お前は弟といてやれよ」
ゆうり「…なんで、お前…」
ゆうき「お兄ちゃん?誰と話てんの?」
ゆうり「あ、いや…」
M「気まぐれだ。気にするな」
縋り付く弟を抱きしめる『ゆうり』から離れ、音のするリビングへ…
これも禁則事項…
何やってんだ?俺は…
リビングでは、散々暴行を受けたと思われる母親が床に倒れていた。
他の死に神がいない事を考えると、彼女はこの男の暴力では、あちらからの迎えは来ないって事か…
それもまた、つらいな…
父親はまだ足りないのか破壊行為を継続している。
きっと、手入れされた温かみのあるリビングだったろうに、今は裏路地のたまり場より悪い。
こんな所に『ゆうり』が来たら、父親とトラブルになるだろう。
ただでさえ、辛いってのに、わざわざ苦しみに怒りに身を置く事はない。
死に神に必要なのか不思議に思うんだが、死にかけの人間の傷を癒す力ってヤツを使って母親の傷を癒し、父親には少々手荒いが蹴り1つ入れて眠ってもらった。
あぁ…益々自分がしている事がわからない…
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