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柔らかい風が吹き抜ける。
すると、自分の前の席に座る女の子の肩に掛かるほどの純黒な髪が揺れる。
『綺麗』
素直にそう思えた。
「…ち。……みち。」
何か音が聞こえる。
その音さえもこの純黒の前では透き通った音色のようだ。
「中道!!」
「はっ…はい!」
突然自分の名前を呼ばれたために焦って声が裏返ってしまった。
そうか……先ほどの音色は自分を呼ぶ声だったのか……。
しかし、今は不協和音にしか聞こえない。
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