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「中道。この値を答えろ。」
現在は数学の授業中である。
よって、授業中にも関わらず前の席の娘の髪を眺めていた俺に対し、担当教師の芽河(めかわ)は問題の回答を求めた。
授業を聞いてないため解けるはずがない。
「……分かりません。」
「まったく……まだ4月だというのにこれじゃあ先が思いやられるな。」
「はぁ…。」
「ため息はこっちのする事だ。」
聞こえてたのか、ワカメの地獄耳。
芽河を反対から読むとワカメ。
前の席の娘と違って薄い髪が風でヒラヒラ揺れている。
それがまるで海中で揺らぐワカメのようだ、と生徒内で有名なあだ名だ。
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