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「もういい……じゃあ、富松。」
「はい。」
富松と呼ばれた前の席の少女は椅子を引き、凛として立ち上がる。
その瞬間、純黒の髪がふわりと優しく風を撫でた。
そして、それと同時に、薄ピンクに染まる唇をゆっくりと開き、
「x=3√2,y=2√10です。」
「正解。」
俺に振られた問題が解けて当然というように正解を口にした。
俺を睨んでいた芽河の口元も緩くなっていくのが分かる。
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