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父親は一真に、今まで見せたことのない悲しげな表情を見せる
父「オレは.........その悲しみを知ってるからこそ......だからこそ反対してきたんだ。ペット?.....違うッ!!家族だ。家族なんだよッ!!!!」
一真は父親から初めて、父が飼っていた黒猫の事を知らされる。
その内容は全て生々しく、でも幸せな日々で、でも、だからこそ悲しい最後
一真は初めて知った。父親も同じく猫が好きで、父がオレくらいの年の頃にこの家に来た野良猫を捕まえて...........その野良猫を家族に迎えるまでの話。それからの愛猫から与えられた幸福な時...........そして13年後に訪れた、その黒猫の生涯を閉じるまでの話を
父「オレは、アイツのことを今でも思い出し、泣くときがあるんだ。そんな辛い思いを、お前にはさせたくないんだ」
一真「...........じゃあ、父さんは、その黒猫を家族に迎えたことを不幸だと思ってるわけ?」
父「ッ!!!!何!?」
一真「オレにはそう聞こえたよ?その黒猫を飼わなければ、悲しい思いをしなくて済んだってね」
父「そんなことは無えッ!!オレは、アイツがいてくれたから.........幸せだったんだ」
一真「なら、死んじゃったときのことを考えるよりもその子が運んでくれた幸せのことをオレに教えるべきじゃないのッ!!?そのために、あの子猫を飼うことを許してくれるべきじゃなかったのッ!!?」
父「...........お前」
一真「............なにも.......殺さなくてもいいじゃないかよぉッ!!!!」
泣き崩れる息子の肩に父親は手を乗せる
父「ハァ...........覚悟はあるんだな?」
一真「..........え?」
父「覚悟はあるのか聞いている」
涙で顔を腫らした一真は父親を睨み付け、静かにうなずいた
父「..............そうか」
父親は一真にあるものを見せる
一真「..........ッ!!父さんッ!!??」
父親から手渡されたのは、あの子猫だった
父「..........落とせるわけが無え......ただ、お前のマジな気持ちが知りたかっただけだ」
一真は父親から子猫を譲り受ける
父「..........面倒見ろよ?..............その子の、最後の時までな」
一真「うんッ!!.............見るよ.........必ず」
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