ミリ

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父は的確な指示を仲間に与えていた。高校を卒業してから鉄工業一筋の職人だ。なるほど、頼られる理由もよくわかる 父「いや、だからよ、お客さんはそこまでわからねえんだし、大体の位置決めして溶接しちまえ。2ミリ3ミリのズレは何てことねえからよ」 一真「..........んッ!!」 一真は父の通話内容にピクッと反応する 父「あぁ、大丈夫だからよ、頑張りな!........はいよ.....はい、お疲れぇ」 受話器を置く父の後ろから一真が近づく 一真「父さん」 父「ん?どうした?」 一真「決まった.........この子の名前」 父「............おぉそうかぁ!何て名前?」 一真「.........ミリ」 父「..........もしかして、今の電話の内容か?」 一真「そうだよ!何かミリって言葉に引かれた」 父は嬉しそうに微笑む息子の頭を少し強めに撫でる 父「そうかそうかぁ、『ミリ』ねぇ、ん~確かに猫の名前にはお誂え向きだなぁ」 母「どうしたの?二人して嬉しそうに~。あ、さては名前が決まったなぁ?」 一真「うんッ!!決まった」 こうしてミリは小原家の一員となった。 それからの小原家は前にも増して楽しい日々を送った 小さかったミリも一ヶ月経つ頃には随分成長していた。同時にヤンチャっぷりも発揮して、しばしば一真達を困らせた。 たとえば ピピピピピピピピピ 一真の部屋の目覚まし時計がいつものように一真を叩き起こす 一真「ッ!!........もぅ~、うるせえ止まれ」 寝起きで不機嫌な一真はアラームの停止ボタンを乱暴に叩く 一真「ふあぁ~あ......眠い~。.......ん?」 一真は時計の横に見馴れない何かを見つけるが、暗くてよくわからない 部屋の灯りを点けてみると.......... ギャアァアアァァァッ!!!! 台所で朝食をとっていた両親が息子の叫び声を聞き、慌てて二階に駆け上がる 父「ど、どうした一真ッ!!」 母「何かあったのッ!!?」 両親の目の前にはガタガタ震える息子の姿。怯える一真の目線の先には、無惨なネズミの死骸 父「あららら、ミリだな?犯人は」 母「一真に食べさせてあげようと思って取ってきたんじゃない?」 一真「じょ、冗談はいいから、ななな、なんとかしてぇ」
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